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北米バレエ留学についていった話
京都のはずれにある小さなバレエ教室からいきなり4人の生徒がニューヨークとボストンにバレエ留学をすることになり、教室の先生の配偶者である甲斐性なし旦那が生徒達を引率してひと夏を見守ることになったのだが…
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Author:引率の者
妻(元バレリーナ)が拾ってくれなかったら、僕はとうの昔に大西洋で魚のエサになっていただろうな。いまは小さなバレエ教室の隅っこで日々たのしく暮らしています。もう大丈夫。



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ストレッチ・リムジン
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伊丹空港に午前7時に集合する。国際線乗り継ぎのチェックインカウンターは帰国の途につくアメリカ人(たぶん)の高校生(たぶん)で込み合っていた。あきらかに脇差しと太刀の模擬刀とみられるブツ、ポケモンのぬいぐるみ、スーツケース亀の子積み、等々を押したり引いたり大変なにぎわい。航空機出発に結構ぎりぎりで、出発ゲートからのかけ声が「急げ」から「走れ」に変わり、ま、急ぐ雰囲気だけでも。

伊丹から成田への機内で、キャビンアテンダントのおねいさんが生徒たちに声をかけられ、バレエ留学の件を話すと大変感心してくださり、ちいさいのにすごいね、がんばってね、有名になったらニューヨークに観に行くよ、とおっしゃりJALグッズと、「次の飛行機でたべてね」」とアメをくださった。アメはその場で食べた。

1時間ほどで成田に到着して、飛行機を降りようとすると、Kちゃんがもうここはニューヨークだと一瞬だけど勘違いしていたことが判明。デルタ航空のチェックインカウンターをさがして空港を迷う、人にきくとバスで移動した違う建物だと教えてもらった、ありがとう人。朝ご飯が早かったので10時頃でもとてもおなかがすいている。

先にデルタのチェックインカウンターで手続きをしていると、受付のおねいさんがこれまた大変親切にしてくださり、お昼ご飯をたべる場所まで教えてくださった。もうしばらく日本には帰らないからと、生徒たちは日本国最後の食事をうどんにしたよう、関東風の味付けだった。機内で眠るときに首のまわりにつける空気あぶちゃんを購入したりしたあと、出発までの待ち時間に、機内でつかう英語と、入国審査でのふるまいについて、予習しみんなで練習する。

「ちきんぷりーず」「ふぃっしゅぷりーず」「おれんじじゅーすぷりーず」、プリーズは偉大。入国審査では大量の書類と、学生身分の説明があるので特に入念に練習をする。質問は聞かれてもわからないので、自分の番がきたらその大量の査証書類をカウンターにぶちまけながら、「あいむ あてんでぃんっ ばれえ すくーる」と大きな声で言い「ふぉー しっくす うぃーくす」とたたみかける。管理官の質問の中に「ホテル」とか「ステイ」とかが聞こえたら宿泊滞在の住所を指差す。わからなくなってテンパったら「ひーず まい がーでぃあん」と僕のほうを指差す。など、戦略をねる。この第一関門を笑顔で明るく元気にのりきることを確認。成田での出国手続きでは「あいむ あてんでぃん ばれえ すくーる」は使いませんよ。念のため。

3時に成田を離陸。さよなら日本、そしておとずれる13時間の退屈。僕は生徒たちから離れて10列ほど後方の通路がわの座席になった。キャビンアテンダント達がアメリカ合衆国の入国カードを配り始めたので、「あい はぶ えむわん びざ」と言え、そら言えと指示。やはり通じなかったようで、困り顔のキャビンアテンダントさんが「どなたか、わかるひとおりませんか?」とさがしにきたので。それらはわたしの生徒と説明。結局全員分の書類をもらい僕が署名以外を記入して作成した。すこしは暇がつぶれた。

古い機体なのか座席に自分テレビはなかった、上映された恋愛映画3本立てにみじんの興味を持つこともなく、ひたすら耐え忍ぶ。いつしかの某航空会社のようにキャビンの空気を抜かれなかったので高山病にならなかったのは幸い。やっとニューヨークJFK空港に到着。おりる通路によって出口が違ったので、Sちゃんがはぐれかけて少しあせる。入国審査は笑顔が絶大な効果をしめしたのか、ぼくが特に呼ばれることもなく終了。ぼく自身も生徒の一時的な親権者たる身分を証明する英文の書類をたずさえ、書類の提示が必要であれば用意があることを説明する。

「いらない」といわれた。

ごったがえす空港。宿泊先のマンハッタンまでの交通手段を確保しなくてはならない。ここで必要なのは、宿泊先の玄関まで5人が全員一緒に移動できる大型の車両。タクシーには4人しか乗れず、スーツケースは3個まで。バス・地下鉄は体力的に無理。もうつかれてうごきたくないよぉ。

結果、客のドタキャンで困っていたらしいストレッチリムジンをチャーター。ひとりチップも込みで約30ドル。リムジンはイーストリバー越しに午後の日差しに映えるマンハッタンに臨み川底トンネルをくぐり抜けるとニューヨークだった。有名なタイムズスクエアを経由し、宿泊先へ。

宿泊先の日本人スタッフのおねいさんはとても親切。聞けば当初はダンス留学でニューヨークに来たとのこと。生徒たちにもやさしく接してくれて、周辺のコインランドリーやグロッサリーストアまで案内してくれた。こちらで使うプリペイドの携帯電話の購入も手伝ってくれたり、生徒の日用品の購入を助けてくれたり、なんかもう恐縮。その後、ニューヨーク初日ということでかっこいいイタリアレストランで食事。それでもひとり10ドル。ウェイトレスのおねいさんが生徒を「かわいいかわいい」といってくれた。バレエ女子効果は絶大なり。

食後は、日本にコーリングカードでそれぞれ電話したりして。初日が終了。明日は午前9時に集合すること。

テーマ:バレエ - ジャンル:学問・文化・芸術