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ぬいぐるみ屋 |

10年以上使い続けてきたiBookがとうとう壊れてしまった。内部的な動作を確認できるのでグラフィックボードの不具合だということはわかる。改造に改造を重ねて延命措置を講じてしまったのでアップル・ストアで修理を受け付けてくれるのかは微妙だし、なによりお金がかかる。あと一週間の辛抱なので、こうやって日記は何かの裏紙にボールペンで直接書き付けている状態である。
週末の今日は昼前に集合をして、帰国を前にしてそろそろお土産を買っておかねばということで、以前から目をつけておいたタイムズスクエアのお菓子会社やセントラルパーク近くの巨大なヌイグルミ屋にいってみようかということになっていた。
タイムズスクエアのトイザラスにはKちゃんだけ、まだ訪れていなかったので、ついでに訪れてみる。 相変わらず冥界行きのゴンドラのような観覧車がギコギコ動いており、うっかり乗車してしまった人々の後悔と羞恥の入り混じった顔が面白い。
めぼしい物も無いので、店を出てM&Msの店舗を訪れる。チョコレートやココアの強烈な匂いが固まりとなっておしよせる。これぞアメリカの匂いだ。相変わらずグッズ戦略の著しい店内だが、その中に緑の雌M&Msのバレリーナセットのコーナーが新設されているのに目が留まる。バレエダンサーたちの天敵ともいえる甘味会社のバレエ商品群。再びバレリーナをドガの絵画の時代のぽっちゃりダンサー体型に引き戻して、人のみならず犬猫までもが総じてダイエットに必死なこのご時勢を覆さんとする巨大な陰謀があるとみて独り戦慄を覚えずに入られなかった。きっと店の地下には赤やら青やらの戦闘服の丸い工作員たちがこちら、中でもKちゃんを見て、次の「太らし」ターゲットを相応しいかどうか品定めをしているに違いない。負けてはいけませんぞ、Kちゃん。
秘密結社M&Msを出て向かいのハーシーズに入る。こちらもアメリカ臭のたちこめる店内で、チョコレートのほかにも様々な甘物が陳列されている。商品のバリエーションが多いのでグッズ戦略にはそれほど積極的ではないようだ。ここに売られていたバケツ入りのお菓子の詰め合わせを学校やバレエ・スタジオの、おしゃれな箱詰めのお菓子セットをお世話になった人々へのお土産にすることにした。
商品を購入していったん宿に戻る。買い物の内容がチョコレートなので、この炎天下のニューヨーク市外を歩き回ると溶け出して悲惨なことになるのは日を見るより明らかだ。
荷物を置いて、今度はヌイグルミ屋に向かう。地下鉄のEトレインが工事のために本日運休だったので、セントラルパークの西詰めから歩くことにした。明日の予定が特にないので、Kちゃんは僕に引っ張られてセントラルパーク内一周のツアーに行くことになるよと本人に伝えると本当に困った顔をした。明日ももれなく炎天下のニューヨーク市である。やたらと体力だけはあるバカ引率者がいて本人はとてもかわいそうだが、他に妙案もないので、おきまりの観光コースとなってしまうのである。
セントラルパーク東詰めの巨大ヌイグルミ屋の店先には、バッキンガム宮殿の歩哨のような格好をした案内が即興で歌を歌いながら皆を招き入れていた。 「お嬢さーん、おさるのジョージは2階の、おーくでーすーよー」 ロリスやアイアイのような原始猿のリアルなぬいぐるみがあれば、僕も是非購入したかったのだが、あいにくそれは無かった。圧倒的な物量の店内である。何百頭ものクマ、ウサギ、イヌのぬいぐるみ達がそのプラスチックの黒い目で「買って買って」とこちらを見つめ大合唱である。 「買ってつれて帰ってあげたいけど、おっちゃんのおうちには二匹の暴れん坊動物がいて、君たちはじきにおててやあんよがとれてしまうかもしれないから無理なんだよ。」 と心の中でつぶやいて店を去る。なんか解放される。
近くのディズニーストアが新装開店工事のためか閉まっていたので目的を失い、しようがないのでセントパトリック教会に入る。ちなみにこの有名は教会はついでに来るような場所ではない。警備の人に厳粛な場所である教会では帽子をとるように注意をされてしまった。ごもっとも、どうもすいません。正面の祭壇付近から振り返ると後方の入り口あたりの頭上に青い星状に広がるステンドグラスが輝いていた。「うまそうだな、ガリガリクン食べたいな」と見ていると電話が鳴った。
急いで教会の外にぬけだして電話に出るとKちゃんのABTのお友達のお母様だった。明日Kちゃんをヤンキースの野球観戦に連れて行ってくれるとのこと。よかったねKちゃん、セントラルパーク行軍がなくなって。
宿に歩いて戻り、コインランドリーで洗濯をしてから、サラダを食べて解散。明日は12時にお友達が迎えに来てくれることになっている。
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テーマ:バレエ - ジャンル:学問・文化・芸術
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