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北米バレエ留学についていった話
京都のはずれにある小さなバレエ教室からいきなり4人の生徒がニューヨークとボストンにバレエ留学をすることになり、教室の先生の配偶者である甲斐性なし旦那が生徒達を引率してひと夏を見守ることになったのだが…
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Author:引率の者
妻(元バレリーナ)が拾ってくれなかったら、僕はとうの昔に大西洋で魚のエサになっていただろうな。いまは小さなバレエ教室の隅っこで日々たのしく暮らしています。もう大丈夫。



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大艦巨砲主義
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ニューヨーク市にはたくさんの博物館や美術館、画廊があり、そのいくつかは無料で公開されている。その無料ギャラリーのなかでも是非とも行っておきたかったのが「フォーブス・ギャラリー」である。このギャラリーには「フォーブスマガジン」の創立者であるマルコム・フォーブスが収集したコレクションが展示されている。

ニューヨーク市の美術館めぐりで前回のグッケンハイムで見事に18ドル分の敗北を味わったので、無料といえどもパンチの効いた何かを目にして帳尻をあわせておきたい。そこに来て「フォーブス・ギャラリー」である。世界有数の出版社の社長さんともあろうお金持ちが金にモノを言わせて集めた趣味のコレクションである。一般人が手を出しがちな切手やコイン収集等とは規模が違うはずなのだ。「河童の集めたしりこだま」ぐらいは期待をしても良いはずなのだ。

実はここには今までに2度も訪れ、いずれも入館時間を過ぎていたり、休館日であったりして門前払いの憂き目にあっている。今日こそは中に入れてもらえるのかとビクビクしながら天下のフォーブス社の受付をとおりすぎると、「写真撮影はだめだからね」と言われた。了解。

薄暗い狭い入り口をくぐると目に飛び込んで来たのは「船」、模型の「船」である。しかも魚雷艇やモニター艦等の軍艦ばかりがずらりならぶ。男の子の心をわしづかみである。しかも小さな船の甲板に不釣り合いな大砲を満載にした軍艦が軍艦たる時代の戦う船たちである。ブリキ製でつくりは精巧とはいえないけれど夢あふれる造形で、傾斜した装甲甲板や吊り下げられた水上飛行機など、技術革新の過渡期であった当時のこっけいな試行錯誤も忠実にとりいれられている。これはたしかに「欲しい」。

性能や戦略があったものではなく、砲塔の数と視覚的な重厚感によって敵を「威圧」することを武器に海洋で「いきり」あっていた時代の産物である。格好良くないわけが無いのだ。その模型船の数たるやゆうに百は下らない。ゲンゴロウのような形の装甲軍艦や重さで船が傾くかのような巨大主砲1門のみが頼りの男らしい軍艦等の間に素敵なものを発見した。

潜水艦である。これらの船が活躍した時代の最新テクノロジーである。今で言う宇宙船くらいの革新的技術であった。当時の工作技術の限界により船体は直線的な造りで、故に現在の潜水艦よりも未来的なデザインですらある。民間の造船所と街の狂った発明家が結託して造り海軍に売り込んだこれらの異形の鉄塊は、実際に可哀想な水兵達を乗せ大海原に漕ぎ出しては海の藻くずとなっていったモノであった。別の展示棚には潜水艦のみをあつかったセクションがあり、深海に広がる人類未踏の地に最新鋭の潜水機達が切り込んで行く様を立体的なジオラマにて再現している。戦時の急速な技術革新の数々に若きマルコム・フォーブスは感動し打ち震え、その歴史を実体として掴まんとするがために模型というかたちでその所有欲を満たしていたのだろうか。

他には各国の一個師団をミニチュアで再現した軍隊人形の数々があり、人類の宿命ともいえる戦の物語を史実や空想をおりまぜて並べ上げ展示している。後に「フォーブスマガジン」を今日の不動の地位に成長させたもとには、戦闘から供給までを構成した軍隊人形で遊んだことによって培われた経営システムとマネージメントの理解が少なからず存在するのではないか。

展示品のなかに日本語で書かれた感謝状が何点かあった。一つは日本国内での航空機建造にかかわり、技術指導を日本のエンジニアに授けたということへの謝辞であり、もう一つは日本国内で金閣寺のかたちをした熱気球を持参し飛行したことにたいする謝辞であった。熱気球はマルコム・フォーブスの趣味であった。

とにかく多趣味な人であったと同時に日本にも近しい人であったということを知り、良いものをみれたなという思いでギャラリーを後にした。模型船の展示については帰国までにもう一度見に行くつもりである。写真撮影が禁止されている以上はつぶさに眺めて記憶に焼き付けなくてはならない。

これでグッケンハイムでの敗北は帳消しにされた。つぎは何を見に行こうか。
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テーマ:バレエ - ジャンル:学問・文化・芸術



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