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北米バレエ留学についていった話
京都のはずれにある小さなバレエ教室からいきなり4人の生徒がニューヨークとボストンにバレエ留学をすることになり、教室の先生の配偶者である甲斐性なし旦那が生徒達を引率してひと夏を見守ることになったのだが…
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Author:引率の者
妻(元バレリーナ)が拾ってくれなかったら、僕はとうの昔に大西洋で魚のエサになっていただろうな。いまは小さなバレエ教室の隅っこで日々たのしく暮らしています。もう大丈夫。



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僕達にできるコト
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またもやセントラルパークに行ってしまう。うそっこ山だ、うそっこ川だ、とバカにしていても、もうここしか逃げ場がないんだよ。

Kちゃんを送ってから宿に戻り、ログ書きなどをしていると日本から電話が入った。ボストン組の生徒の家にボストンバレエ学校から手紙が届いているとのこと。ざっくり読んだ感じでは秋からのボストンバレエ学校に入学を許可する内容であるらしい。すぐに詳細をご両親に伝えるために翻訳をしたいので全文をメールで送ってもらう。

ボストン組もABTのKちゃんも、この夏期留学で一番の目標は、一連の受講課程をこの後のバレエキャリアにどう繋げて行くのか、という事だ。生徒の家族にも我々にとっても、この留学に対する投資額はすでに「楽しかった夏の思い出」で完結できる程度を大幅に越えてしまっている。特に我々は、今回の海外留学については不慣れや勉強不足も多々ありうるので、リサーチという意味も含めて手弁当でお手伝いをしている。何らかの明確な成果を得る事がないと、ここに費やした交通費や宿泊費など多額の経費と時間が無駄になってしまうのだ。

そんな中で、秋学期からのバレエ学校の入学許可は願っていた知らせであった。しばらくしてメールが届く。文面には「Boston Ballet School」と見出しがあり、改行して「Dear Parents and Students」とあった。嫌な予感がした。通常「入学許可」など重要な書類には「Dear」の後に生徒の氏名が来るはずである。つまりこの類の書面は本人別にタイピングして完成されるべきである。完全に無記名の書類であれば、その重要度は無きに等しい。つまり「在宅ワークで副収入!」とかうたう迷惑メールとも大して変わるモノではない。ざっくり最後まで読んだが、ボストンバレエ学校の学生としての特別な身分が実質何も保証されていない事、さらに入学の基準が「早い者勝ち」であること、これらに疑問を抱き、すぐに日本に電話をする。

妻はこの入学の知らせに素直に喜んでいたようだ。残念だがこちらの見解を伝えなくてはならない。まず「早い者勝ち」の入学基準であるなら、それは一般的なバレエ教室と同じであり、「選ばれた者」のみが集められるバレエ学校とは異なるのではないか。そして将来に繋がる上級課程への進学についてもその選考方法と時期を明記していない事で、キャリアに繋がる身分が不明瞭なのではないか。と伝えた。さらに受講料の金額を聞いて、義務教育の学業を消化した放課後に受けるパートタイムでのバレエレッスンとしては非常に高額であるとも指摘する。

この課程の受講を希望するのであれば、アメリカ合衆国の義務教育規定に従い、同時に小中高等学校の教育課程を履修することが必要となってくる。ボストンバレエ学校がそれらの教育を提供しない以上、昼間は通常の学校に通い、放課後にバレエ学校に出席する事になる。もちろん寮施設は提供されていないのでボストン市内の一般家庭にホームステイし、そのお家の子供として生活しバレエをするのだ。

この条件であっても、なお入学を希望するのであれば、それは大いに結構な事だ。バレエだけでなく英語も学べるし、こちらの義務教育課程も日本のそれより評価できる。なにしろあのアイコ先生ですらアメリカの学校では代数幾何・基礎解析等を良く理解するに至ったのである。

しかし、この留学が当バレエ教室として出来る支援にどれほど値するのか、個人的にホームステイ先を探し留学し、放課後に現地のバレエ教室に通うのとは何が異なるのか。

我々には留学を斡旋するための諸々の資格がない。航空チケットや宿泊先の手配をし手数料を得るには、国家資格である「旅行業務取扱管理者」が必要となるし、各公的文書を翻訳したり記入し手続きを代行するにはATAアメリカ翻訳者協会の認定を受けている事が望ましい。すなわち、この資格・認定が無い以上、当バレエ教室が留学手続き代行業者としてサービスを行い利益を得るには不適格な部分があり、それについては留学生の責任において「無償」で支援提供をしなくてはならない。

厳格な入学試験により「選ばれた者」として狭きバレエ学校の門をくぐれたのであれば、当バレエ教室は全面的に支援をしたいと思う。なによりも事業目標としての「バレエダンサーを育て世界に輩出する」ことに適合するためである。ここに生じる損金は宣伝広告の対価として未来に補填されるものだと信じたい。

しかし留学が単なるホームステイと何ら違いが無いのであれば、こちらとして使う事の出来る経費と時間は限定されたものになるだろう。さらに、9月からの入学であれば、ホームステイ先の選定と依頼、法的な手続きをふくむ事務等、迅速に処理しなくてはならない事が津波のように迫ってくる。バレエ学校という特別な性質を帯びたものを主体にするのではないのなら、これらの作業は留学斡旋業者に依頼した方が確実で安全だ。その選定と見定めが重要とはなってくるが。

これらを妻に伝えたかったのだが、国際電話特有の音声伝達の遅延に加え、使用していたコーリングカードの残り時間も少なかったことから、的確にわかりやすくこちらの見解を伝える事が出来ない。おまけにあちらの喜びぶりに水を差すことを述べているのであるから、むこうも言葉尻だけをとらえては一々あまり論理的でない反論をしてくるので疲れてくる。とうとう癇癪をおこす気配を感じるに至っては、このままではらちがあかぬと思ったので、すぐに翻訳をすることを伝え電話を切った。

文章としては短かったので、すぐに翻訳は終了しTeX組版をして、日本の自宅のサーバーにアクセスしてPDF形式に変換する。つぎに日本のセブンイレブンの提供する「ネットプリント」を利用してスタジオ近くのコンビニで出力が出来るように文書をアップロードした。プリントアウトができるようになったことをメールする。

疲れた、妻に対してこちらの考えを解りやすく上手に伝える事が年々難しくなってきているような気がする。言葉をえらぶ作業に時間がかかりすぎるし、正確に伝えたいが故に話がくどくなってしまう。もっと会話に構成力を持たなくてはならない。しかし最近あちらの横暴ぶりも目に余るようになってきた。経営者といえども「ごね得」が通用しすぎではないか?オレタチ夫婦はコノママデ大丈夫ナノカ?

そんなわけで、僕はまたセントラルパークでたたずむのであった。焦燥感とプチ絶望を味わいながら。
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テーマ:バレエ - ジャンル:学問・文化・芸術



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