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北米バレエ留学についていった話
京都のはずれにある小さなバレエ教室からいきなり4人の生徒がニューヨークとボストンにバレエ留学をすることになり、教室の先生の配偶者である甲斐性なし旦那が生徒達を引率してひと夏を見守ることになったのだが…
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引率の者

Author:引率の者
妻(元バレリーナ)が拾ってくれなかったら、僕はとうの昔に大西洋で魚のエサになっていただろうな。いまは小さなバレエ教室の隅っこで日々たのしく暮らしています。もう大丈夫。



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ウェスタンユニオン
アムトラックは1時間遅れでボストンバックベイ駅に到着した。地上にあがると少し空気が生暖かかったが、海風で心地がよかった。すぐ来た地下鉄で宿泊先近くまで移動し夜のボストン市内を歩く。3週間前にも訪れたその宿に到着すると荷解きをし、Kちゃんには先に休むように言ってから作業にかかる。

宿のリビングルームでインターネットに接続してSkypeを試みる。妻はコンピューターの前でずっと待っていてくれていたようですぐに応答がきた。ボストンに無事到着した現在の状況と今後のプランについて説明をする。妻は直ちに中央郵便局に走り旅行資金をEMSで郵送してくれるという。助かる。

Skypeを切断してやっとひとごこちついていると、以前この宿で見かけた長期滞在の男性にふたたび会う。仕事でボストンに駐在し、ここを拠点としているのだそうだ。日本にはちょうどKちゃんくらいの年頃の娘さんがいらっしゃるそうで、僕がKちゃんと2人で旅している事に大変驚いておられた。このくらいの女の子は難しい年頃なのだと言う。

たしかに年齢は離れているし僕は既婚者であるが、それでも男と女であることには違いない。こちらとしても対外的に無用な誤解を与えたくないので、常に生徒達の引率者としての振る舞いを心がけ、生徒をある程度つきはなした距離において接しているつもりだ。さらに、生徒達のアメリカ滞在中の法的な親権者たる僕の地位を証明する書類の取り交わしも行っている。しかしここにおいて両者の微妙なバランスを保つものは「遠慮」の一言につきる。日本には無い危険な事や非常識な事はすぐに厳しく指導しているから、「遠慮」のない父と娘の関係ならば、この難しい年頃であれば「パパうざい」となってしまうかもしれない。「遠慮」をもって互いの地位を認め、この旅程を成さねばならぬ仕事としてとらえて日々を過ごしているから、生徒と引率者としての規律と緊張感が生まれるのだと僕は信じる。

その男性には、おなじ階に滞在するKちゃんに対する過度な気遣いはいらない、普通の宿泊客としての接し方をしてくれと頼んだ。

作業場を寝室に移動して妻からの連絡を待つ、携帯電話をそばに置いて、明日は早朝からボストン組が滞在している郊外の大学までむかえにいかなくてはならないので仮眠をとる。この寝室は半地下にあるため電気を消して扉を閉めてしまうと真っ暗になり、いざ電話のかかってきたときに寝起きの上に視力の弱い僕は五里霧中となってしまう。扉を少し開いて廊下から適度な光をいれておく、ここは安全な街の安心な宿なので心配はないだろう。

眠りに落ちてしばらくした頃に、携帯電話が鳴った。もう残り時間がないので呼び出しだけをしてSkypeをつなぐ約束になっていたのだが、いっこうに鳴り止まない。電話をとる。残り時間は5分。妻は今から言う事をだまって良く聞けという。光明が差した。緊急送金の手段が見つかったのだ。

送金手段は「Western Union」が提供する国際送金サービスを経由する。この方法では最短わずか10分での海外送金が可能となる。こちらに必要なものは受取人の身分証明と取引番号・受け取り金額の申告だけ。これによって個人間の送金を証明し完了する事ができるのだ。

後で聞くと、なんとこの送金手段は妻が郵便局に向かう道すがら偶然みつけたもので、まだ日本では新しいシステムであるそうで一般的な周知がなされていなかったのだ。(調べると、日本では2010年7月15日、つまり事の始まるわずか1日前から、外貨両替店トラベレックスジャパンによって国際送金サービスが提供されている。)

取引番号と金額、ボストンで送金を受け取る事の出来る場所を2軒だけメモする。残りの詳細はEメールで送ってもらうことになった。メモした取扱い店の1軒がセブンイレブンであったことが解せなかったが、システムとして存在するのなら信じるしか無い。電話には通話時間の無い事をしめす警告が表示された。送金の受け取りには明日早朝に向かう事にして就寝する。すこしでも寝ておかなくてはならない。まだ事態が解決した訳ではないのだ。

3時間と少し眠る事が出来た。身支度を整え、早朝のボストン市街に飛び出す。もう路面電車が動いている。

ボストン市の中心にあたる金融街の近くに、昨晩住所をひかえたセブンイレブンがある。最寄りと見当をつけた地下鉄駅を上がると該当するコンビニエンスストアは目と鼻の先であった。店に入り、まずプリペイド携帯電話の使用時間の加算をする。なにか不手際があれば日本の妻と連絡をとることになるからだ。しばらくして携帯電話には残り60分の表示が出た。

コンビニの某香港スター似の中国系店員に「Western Union」の確認をすると、このような小さなコンビニにはあまり持ち合わせがないので手続きをすることができないと断られた。至極まっとうなことで、あたりまえだ。それでもその店員は近所にある手続きできそうないくつか場所と、しかしそのほとんどがまだ営業開始前であることを教えてくれた。なぜこのように普通のコンビニ店員がすらすらと「Western Union」の契約店をそらんじているのか不思議に思った。ここでは一般的な送金手段になっているのかもしれない。

ボストン組を待たしてもいられないので、これはまた後で挑戦する事にしてニュートンセンター駅に向かう地下鉄に乗る。もう今からではバスの時間には間にあわないので、駅から大学まではタクシーを駆ることになる。送金の受領が完了できていない今、それぞれの出費が恐ろしくもある。

前には気づかなかったのだが、駅のすぐ隣にタクシー会社があることを発見し、大学までの運転をたのむ。タクシーは朝露の中を走り出した。
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テーマ:バレエ - ジャンル:学問・文化・芸術



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