FC2ブログ
北米バレエ留学についていった話
京都のはずれにある小さなバレエ教室からいきなり4人の生徒がニューヨークとボストンにバレエ留学をすることになり、教室の先生の配偶者である甲斐性なし旦那が生徒達を引率してひと夏を見守ることになったのだが…
プロフィール

引率の者

Author:引率の者
妻(元バレリーナ)が拾ってくれなかったら、僕はとうの昔に大西洋で魚のエサになっていただろうな。いまは小さなバレエ教室の隅っこで日々たのしく暮らしています。もう大丈夫。



最新記事



最新コメント



最新トラックバック



月別アーカイブ



カテゴリ



検索フォーム



RSSリンクの表示



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



QRコード

QR



スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

タタカウ・キカイ
0630.jpg

今日は8時半に集合なので、宿泊先で無料の朝ご飯がもらえるかと期待して朝の作業をしながら待っていたら結局なにも無かった。改装工事が済んですぐの状態なので人員がまだ完全には戻ってきておらず、いろいろと至らないところがあるようだ。ま、ゆっくり充実させてください。

Kちゃんを送ってからヘラルドスクエア駅からペンシルバニア駅のアムトラック乗り場までの所要時間をはかるために歩く。3週間後のボストン行きの午後5時40分のアムトラックに間にあうために、ABTからの距離を把握しておく必要がある。

地下鉄ヘラルドスクエア駅を出て1ブロックだけ西に行ったところにペンシルバニア駅はある。地上を歩いていると外装工事現場の金網と建物の間に鳩がいた。人々が行き交う通りのすぐ横にまるで鳥屋の店先のように鳩が3匹、まったくこちらを無視してたたずんでいる。見るとその金網のよこに南京錠をした扉がついており、ここを開けると鳩が出入りできるようになっている。帰巣本能のある鳩は、朝に鳩好きの工事現場の人に扉を開けてもらって外に飛び出し、夕方にここに戻ってきて扉を閉めてもらい休むのだ。

ニューヨーク市は鳥が多い。鳩と雀がやたらに多い。フクロウもいる。人間によって毎日捨てられる豊富な食物がそれらの栄養源になっている。この空気の汚れた都会に鳥類という物理学的にも完成した美をもつ生き物が暮らしている事実は、本当に心の痛むことだけども、こうやって人と馴れ合っているやつらも多く存在するのだろう。

徒歩の時間と発券の手続きをあわせて20分と見積もる。地下鉄の所要時間を加算すると30分もあればボストン行きアムトラック鉄道に飛び乗ることができると予想した。つまりKちゃんには5時までにABTから降りてきてもらえればいいのだ。

今日はもう一つ行っておきたいところがあった。イントレピッド海上航空宇宙博物館だ。第二次世界大戦からベトナム戦争を戦い抜いたエセックス級航空母艦をハドソン川岸に繋留して博物館として公開している。艦上艦内には多数の航空機が展示されており、隣には冷戦時代のディーゼル潜水艦が繋留されているとなれば、男の子としては見逃す訳にはいかない。

ペンシルバニア駅から西へ歩き、ハドソン川ぞいを北上するとイントレピッドの巨体が見えてくる。

入場料は22ドルと少々お高い。桟橋の階段をのぼり直接甲板へはいると東西新旧の様々な航空機が並べられているのが見える。これらが好きな友達が日本にいるので写真をとる。続いて艦内にはいると乗組員の生活の様子が居住空間に垣間見える。新兵さん達のブタ小屋寝室は昨日まで泊まっていた宿泊先の寝室そっくりだった。海行く巨大な鉄の風呂桶のクーラーも無いなかで、ムサい男達が狭い通路をぬるぬるすれ違っていたのだと考えると、俺達ちいさい民族で本当に良かったなと思った。

イントレピッドの大きな展示特集は、なんといっても幾度となく受けた日本軍による神風特攻である。艦内展示の中心では20分ほどのドキュメンタリー映画が繰り返し上映されており、非常にセンセーショナルな効果音とナレーションが艦内に響いている。

「日本の戦闘機がつっこんできましたが、若い兵隊さんは最後まで銃座を離れませんでした。この攻撃では10人が死に、6人がケガをしました。」

もう歴史の一部になってしまった戦争とはいえ、こちら視点では「悪い日本、善いアメリカ」なのでなんとも居心地が悪い。おい、子供こっち見んな。窮鼠猫を噛むんだよ。

そもそも極東の新興国であった日本に対する経済的な圧力がこの戦争の発端となっていることから、物量でねじ伏せた戦績はアメリカ人にとってはいまひとつ格好がつかない。近年のハリウッド映画には、相手が自然現象や宇宙人であるものの、自らの命を呈して圧倒的な脅威に対抗する華々しい最期という表現が散見されることからも、アメリカ人のなかに根強くある恐怖と憧れの「カミカゼ」コンプレックスというものが垣間見える。勝利した側でありながら死にゆく美学を切望してやまないのだ。

戦後からもう65年、ひと一人の一生分も昔のお話しである。反省だの補償だのいう時期ではない。争いは人類の宿命であるしこれからもなくなることは無いだろう。あのとき日米とその同盟国の若者達はよく戦った、一所懸命信じるもの愛するもののために戦って散っていった。それだけでいい。格好よすぎて涙が出てくる。合掌。

次に潜水艦にむかう。冷戦時代の北海に潜み、有事にはいつでも核弾頭搭載のジェット推進巡航ミサイルを発射できるように虎視眈々とその期をうかがっていた代物だ。設計には多分に戦後接収した日本海軍の伊四○○型潜水艦の影響をうけているのだが、展示物の説明にその表現は無いようだ。

潜水艦内は狭い。海を泳ぐための細い生物的な外形をした胴体に機械の内臓をギチギチに詰め込むからだ。潜水艦乗りには、この臓器の隙間を物音一つたてずに素早く動き回る技術が必要とされる。さながら忍者のごとし。艦の内壁や通路にまで這い回る無数の鉄の血管。極寒の海中で艦を暖め続けた左右のディーゼル駆動の心臓。追いつめられてから牙をむくための魚雷発射管。戦う機械のなかに申し訳程度に配置される、それでも生きるためにはぎりぎりの居住空間。機能美の極みである。

結局この潜水艦は旧ソヴィエト連邦に脅威を与え続けながら一度も戦うこと無く退役をむかえている。戦わない兵器であった。素敵だ。諸君、私は戦争は嫌だし「国際基準」でリベラルではあるが戦争機械は大好きだ。その機能美と滑稽さに否応無く痺れ憧れてしまうのである。

本日はさらに、ニューヨークにきて初めてボクシングジムに行ってみた、約6週間ぶりの運動だったので、バテた。ヘロヘロでなさけない。運動はしておかないとね。また行きます。あさってぐらいに。

Kちゃんは今日リハーサルで、休んでいる子の代役もつとめて大忙しだったらしい。代役をさせてもらえるということは期待されているということだ。やるじゃん。

カゼや病気をしないように、気をつけないとね。明日は7時半集合。
スポンサーサイト

テーマ:バレエ - ジャンル:学問・文化・芸術



トラックバック
トラックバック URL
→http://balletseaman.blog87.fc2.com/tb.php/14-9ff550cd
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。